警察に提出した被害届を取り下げる手続きとは
被害届を取り下げるにはどんな手続きが必要か?
「被害届」という名前は聞いたことがあっても、実際には出したことがないという方が多いのではないでしょうか?
被害届は自転車の盗難などのケースでも出すことができるので、身近な書類だといえます。
今回は被害届の出し方や取り下げ方など、被害届の基礎知識を紹介していきます。
いざという時のために、被害届の基礎を身につけておきましょう。
被害届はどんなときに出すの?
被害届は、文字通り、何らかの被害にあったときに警察に出す届出のことです。
ここでいう「被害」は多岐にわたり、たとえば「自転車を盗まれた」「ストーカー被害にあった」「オレオレ詐欺被害にあった」「恐喝された」などをふくみます。
被害届を出し、被害を警察に知らせなければ、警察は犯罪がおこったということを知ることができません。
犯人を逮捕してほしい、被害を知らせたい、被害をこれ以上拡大させたくない、と思うなら、被害届を出す必要があるのです。
被害届を出したあとはどうなる?
被害届が受理されたら、警察は被害者に事情聴取を行います。
聞き取りから、事件性があると判断された場合には、警察は捜査にとりかかります。
捜査の方法は、目撃者を探し話を聞いたり、電話などの通信機器の記録を調べたり、預金などの出入金を調べたりなど多岐に渡ります。
また、犯人らしき人物が浮かび上がった場合には、事件の現場に残された髪の毛や指紋などから血液型を割り出す、容疑者の指紋から犯罪歴を照合する、などを行います。
犯人がはっきりとした場合には、事情を聞き、逮捕に踏み切ります。
被害届を取り下げる理由とは?
被害届を出したけれど、やっぱり取り下げたい、という場合もあるでしょう。
例えば、加害者から連絡があり、損害賠賠償金を支払い、謝罪も行うので、被害届を取り下げて欲しい、と提案があった場合など、お互いが納得できる形で示談となった場合は被害届を取り下げたいと考えるでしょう。
また、盗難などで被害届を出していた場合には、その物が戻ってきた場合に被害届を取り下げるケースもあります。
被害届の取り下げはどこで誰が行う?
被害届の取り下げは、警察署に直接出向いて行う必要があります。
警察署に電話をして「取り下げてください」ということは不可能なのです。
まずは、被害届を提出した警察署に出向き、被害届を取り下げたいむねをつたえましょう。
そして、被害届を出した日を伝え、被害届を出してもらいましょう。
被害届の一番下には、被害届を取り下げるという欄がありますので、
そちらに署名・捺印をすると被害届の取り下げは終わります。
被害届を出したときのように詳しく事情を聞かれることはありませんので、
10分ほどで手続きを終えることができるでしょう。
被害届を取り下げても警察の捜査は続く?
被害届を取り下げたら、絶対に警察の捜査はストップする、というわけではありません。
場合によっては、捜査が続けられることもあります。
被害届を取り下げても警察の捜査が続けられる事件のことを非親告罪と言います。
親告罪とは、告訴(被害者が犯人の処罰を求める意思表示のこと。被害届を出すことも含む)をしなければ、検察官が罪に問うことができない犯罪のことです。
非親告罪とは、それ以外の犯罪のこと、つまり被害者が名乗りをあげなくても罪に問うことができる犯罪のことです。
親告罪である名誉毀損や強制わいせつなどの事件では、被害届が出ていなければ罪に問うことができませんから、被害届が取り下げられた時点で事件の捜査は打ち切られます。
ですが、非親告罪の場合には、被害者が声をあげようがあげていなかろうが、罪に問うことは可能になります。
そのため、被害届が取り下げられても警察の捜査が続くケースもあるのです。
被害にあったらまず被害届を出そう!
今回は、被害届の基礎知識について解説してきました。被害届の取り下げは警察署に出向いて署名・捺印するだけの簡単な手続きで行うことができます。
何らかの犯罪に巻き込まれた場合には、まずは警察に相談し、必要であれば被害届を出しましょう。
加害者が「被害届を取り下げて欲しい」と交渉してきた場合には、自分にとって、どちらが幸せな選択なのかをじっくり考えたうえで決断を下しましょう。
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