失踪届はどこにどんな書式で提出したらいいのか
失踪届の書式と届出を出す際に必要な準備とは
今回は、失踪届を出したいと考えている方向けに、失踪届の出し方や書式、
届出をしたあとの手続きなどについて簡単にご説明します。
失踪届を出したいけれど、手続きが面倒そうで躊躇している、
という方はぜひ本記事を読んで参考にしてみてください。
失踪届とは?どんなときに出すの?
まず、失踪届の役割についてご説明しましょう。
失踪届とは、行方不明になって連絡が取れなくなった人を死亡したという扱いにしてもらいたいときに市町村に届け出るものです。
「行方不明になった夫の保険金を受け取りたい」
「再婚したいので、数年間行方知れずの妻と離婚したい」などといった場合に提出されます。
失踪届とよく混同されやすい届出に捜索願がありますが、捜索願は基本的に、行方不明になった人物を捜索してもらうために警察に出す届出です。
名前はなんとなく似ていますが、両者の役割は全くことなります。
失踪届を出す方法。出せる条件は?準備する書類は?
次に、失踪届の出し方や書式について説明していきます。
1 失踪届を出せる条件とは
失踪届は、誰でも出せるというものではありません。
失踪届を出せるのは、
行方不明者の配偶者を含む家族、相続人、婚約者、財産管理人に限られます。
また、家出や蒸発などによって7年間生死が不明になっている、
または戦争や自然災害のために1年間生死が不明になっていることが条件になっています。
「夫が家出をしてから5年が経った」という状況の場合、
あと2年間待ってから失踪届を提出する必要があるのです。
2 家庭裁判所に失踪宣告を申立てる
失踪届を出せる条件に当てはまっていたら、次にすることは、
家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行うことです。
申立てには、「家事審判申立書という失踪宣告の申込書・失踪した人の戸籍謄本・失踪した人の戸籍の附票・捜索願などの行方不明だということを証明する書類・戸籍謄本などの失踪した人との関係を証明する書類」が必要です。
申し出を行うと、家庭裁判所の調査官は本当に失踪したのかの調査を行います。
失踪したと認められたら、調査官から「対象者は亡くなったとみなします」という旨の連絡がきて、失踪宣告は確定します。
確定したら、家庭裁判所に、確定証明書を出してもらうよう依頼をしましょう。
3 市役所に失踪届を提出する
家庭裁判所に確定証明書を出してもらったら、
確定証明書と審判書謄本を持って市役所に失踪届を提出します。
注意すべきなのは、失踪届は失踪宣告が確定してから10日以内に行う必要があるということです。
10日を過ぎてしまったら、せっかく確定した失踪宣告は無効になってしまいます。
失踪届の書式
次に、失踪届の書式についても確認しておきましょう。
失踪届に記載すべきことは以下です。
- ・失踪した人の氏名
- ・失踪した人の最後に住んでいた住所
- ・失踪した人の本籍
- ・死亡したとみなされる日付
- ・届を出す人との関係
- ・届を出す人の住所・本籍・署名
- ・届を出した人の日中連絡のとれる電話番号
A4一枚のシンプルな書式です。
追記することがあれば、「その他」の項目に記載することができます。
失踪届を出した後に必要な手続きは?
次に、失踪届を出した後の手続きについてもみていきましょう。
・離婚や名義変更の手続き
失踪届を出した後の手続きは、失踪届を出した目的によって変わります。
たとえば、失踪して10年経つ夫を見限り、再婚を考えている女性の場合、
離婚の手続きを行う必要があります。
生活が苦しく、妻名義になっている土地建物を売却したいという目的で
失踪届を出した男性の場合は、名義を書き換える手続きを行う必要があります。
保険金を受け取りたい、という目的で失踪届を出した場合は、
保険会社で手続きを行いましょう。
・失踪した人が見つかった場合
失踪届を出した相手が、見つかった場合は、家庭裁判所に失踪届の取り下げを申し出る必要があります。
ここで気になるのは、「すでに死亡していると判断され、
離婚し、別の人と再婚している場合どうなるのか」でしょう。
この場合は、新しい婚姻関係が正しいものとなり、離婚しなければならないということはありませんのでご安心ください。
ただし、失踪届を出した人が、実は居場所を知っていて死んでいないことを知っていた、という場合は、新しい結婚の方が無効とされてしまうケースもあります。
では、「失踪届を出して名義を書き換え、土地建物を売却して大金を得ている場合」はどうでしょうか。基本的には、失踪していた人が見つかった場合には、その財産は返却する義務があります。
ただし、そこで得たお金をすでに使い切ってしまっている場合には、
取り立てられることはありません。
最後に
今回は、失踪届の書き方や書式、失踪届を出した後の手続きに
ついて解説してきました。
失踪届を出すことで、離婚や再婚・財産の相続など、未来の可能性が広がります。
手続きはそこまで煩雑ではありませんから、「身内が失踪してしばらく経った」という方は失踪届の提出を検討してみてはいかがでしょうか。
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